Inari 記事 · 海外販売のはじめ方

英語ができなくても海外販売はできるのか

最終更新:2026年8月

結論から言います。できます。ただし「英語を使わずに」ではなく、「英語を使う場面を減らして」です。海外販売で英語が必要になる場面は、実は数えられるほど少ない。この記事では、その場面を全部並べ、どこを型でまかない、どこは自分の言葉で書くべきかを整理します。

結論:英語力より、場面の数を数える

「英語ができないから海外販売は無理」と言うとき、多くの方は英語を一つの大きな壁として見ています。しかし実際の海外販売は、英語で会話する仕事ではありません。決まった場面で、決まった文章を出す仕事です。

実際に英語が発生するのは、商品ページ・発送連絡・遅延の説明・破損対応・返金・レビュー返信・卸の打診。この7つでほぼ全部です。しかもそのうち5つは、事前に用意したテンプレートの差し替えで対応できます。

つまり必要なのは「英語力」ではなく「準備量」です。英会話の練習より、7場面の文章を先に作っておくほうが、はるかに早く売れるようになります。

逆に言えば、準備をせずに始めると、注文が入るたびにゼロから英文を考えることになります。1件あたり30分。月20件で10時間。これが「英語ができないから続かない」の正体です。英語力ではなく、設計の問題です。

海外販売で英語が必要になる7場面

① 商品ページ(毎回書くが、構造は同じ)。② 発送連絡(テンプレートで完結)。③ 遅延の説明(テンプレート+日付の差し替え)。④ 破損・不良の対応(テンプレート+写真依頼)。⑤ 返金の連絡(テンプレート)。⑥ レビュー返信(3行で足りる)。⑦ 卸・取引先とのメール(ここだけは少し個別対応が必要)。

重要なのは、②〜⑥は「創作」ではないということです。同じ状況が繰り返し起きるので、一度作れば一生使えます。英語が苦手な方ほど、ここを最初に固めるべきです。

①の商品ページは毎回書きますが、これも型があります。「何か+主要スペック → 誰のためか → 感覚的な一言」。この順序を守れば、単語を並べるだけで通じます。

⑦の卸メールだけは、相手の店を見て一言添える必要があります。ただし全体で5〜6行。長い英文は不要どころか、むしろ嫌われます。

よくある誤解 5つ

誤解1:ネイティブのような英語でないと信用されない。実際は逆です。短く正確な文のほうが信頼されます。装飾の多い英文はテンプレート的に見えます。

誤解2:「英語が下手ですみません」と最初に書くべき。書かないでください。買う前に不安材料を与えるだけです。海外の買い手は、英語の上手さではなく、返信の速さと約束を守るかどうかを見ています。

誤解3:電話や通話ができないと商談できない。文具・雑貨の卸はメールとPDFのラインシートでほぼ完結します。通話を求めてくる相手は例外的です。

誤解4:英語ができるようになってから始めるべき。英語は使う場面がないと上達しません。売りながら覚えるのが最短です。最初の10件の対応が、教材10冊より効きます。

誤解5:翻訳ツールを使うのはズルい。使ってください。問題はツールではなく、出力をそのまま貼ることです。手直しの型さえ知っていれば十分実用になります。

英語を「仕組み」に変える4ステップ

ステップ1:7場面のテンプレートを作る。1日で作れます。発送・遅延・破損・返金・お礼・レビュー返信・卸打診。日付と名前だけ差し替えられる形にしておきます。

ステップ2:商品ページの型を1つ決める。冒頭2〜3行+箇条書きの仕様+配送目安。全商品でこの形を使い回します。写真の順番も固定します。

ステップ3:よくある質問を先回りして書く。配送日数、関税、追跡、返品可否。ここを商品ページに書いておくと、問い合わせ自体が減ります。英語を書く回数が減るということです。

ステップ4:自分の言葉を残す場所を1つ決める。同梱カード、またはプロフィール文。ここだけは翻訳ツールに任せず、短くていいので自分の言葉で書きます。海外のお客様が覚えているのは、完璧な英語ではなく、この一文です。

翻訳ツールとの正しい付き合い方

翻訳ツールの出力をそのまま使うと、日本語の敬語構造がそのまま英語になります。特に「ご了承ください」「この度は」「よろしくお願いいたします」は、必ず不自然な英語になります。

手直しは3ステップだけで十分です。①「この度は」にあたる語(this time)を削除する。②長い1文を2文に分ける。③ I am → I'm のように短縮形にする。この3つで印象は大きく変わります。

もう一つ有効なのが逆翻訳です。出力した英文を、別のツールで日本語に戻します。戻した日本語が回りくどければ、英文も回りくどい。この確認は英語力がなくてもできます。

そして最も重要なこと。日本語のまま残していい言葉があります。washi、sakura、kawaii、地名、ブランド名。これらは訳すと価値が下がります。訳すのはビジネス文だけです。

英語より先に整えるべきもの

英語を理由に止まっている方の多くは、実はもっと手前で止まっています。原価と価格。送料と関税。配送日数の表示。返品ポリシー。これらが決まっていないと、どれだけ英語が上手でも売り続けられません。

特に価格です。海外向けは、送料・決済手数料・為替・返品率を織り込んだうえで利益が残る価格でなければ、売れるほど苦しくなります。ここは英語ではなく計算の問題です。

次に配送。到着目安と追跡の有無を明示するだけで、問い合わせは大きく減ります。問い合わせが減るということは、英語を書く回数が減るということです。

つまり、英語の負担を減らす最短ルートは、英語の勉強ではなく、価格・配送・ポリシーの整備です。順番を間違えないでください。

最初の90日でやること

1〜30日目:価格と送料を確定し、商品ページの型を1つ作る。テンプレート7本を用意する。この時点ではまだ英語の勉強はしません。

31〜60日目:5〜10商品を出品し、実際に注文を受ける。テンプレートを実戦で修正する。ここで初めて「自分に必要な英語」が分かります。

61〜90日目:レビュー返信とリピート導線を整える。ここまで来ると、英語の作業時間は1件あたり3分程度になります。

90日を過ぎたら、卸やイベントなど個別対応が必要な領域に進みます。この段階で必要な英語は、テンプレートではなく判断力です。そこは順番に身につければ十分間に合います。

この記事の続きに使えるもの

英語の負担を「仕組み」に置き換えるための教材とガイドです。

よくある質問

英語ができなくても海外販売はできますか?

できます。海外販売で英語が必要になるのは、商品ページ・発送連絡・遅延・破損対応・返金・レビュー返信・卸メールの7場面だけです。このうち5場面はテンプレートで対応でき、名前と日付を差し替えるだけで運用できます。必要なのは英会話力ではなく、事前の準備量です。

翻訳ツールだけで運営できますか?

下訳としては十分ですが、出力をそのまま使うのは避けてください。日本語の敬語構造が残り、不自然な英語になります。①「この度は」を削除、②長文を2文に分割、③短縮形にする、の3ステップを通すだけで実用レベルになります。逆翻訳で確認すれば、英語力がなくても不自然さを検出できます。

英語ができるようになってから始めるべきですか?

いいえ。英語は使う場面がないと上達しません。最初の10件の実際の注文対応が、教材10冊分の効果を持ちます。価格・送料・ポリシーを先に整え、テンプレートを用意してから、小さく始めるのが最短です。

「英語が下手ですみません」と書いたほうが親切ですか?

逆効果です。海外の買い手は購入前にその一文を読み、対応への不安を感じます。謙遜は日本国内では信頼を生みますが、海外では能力の自己申告として読まれます。何も書かず、短く正確に対応するほうが信頼されます。

英語ができないと卸取引は無理ですか?

無理ではありません。海外の小売バイヤーとのやり取りは、メールとPDFのラインシートでほぼ完結します。必要なのは長い英文ではなく、掛率・最低ロット・納期の3点が明記された5〜6行のメールです。むしろ短いほうが読まれます。

問い合わせが英語で来たときはどうすればいいですか?

3行で返します。①結論(Yes / No)、②理由か補足、③次にどうするか。前置きや謝罪は不要です。よくある質問(配送日数・関税・返品)は商品ページに先に書いておくと、問い合わせ自体が減ります。

英語より先にやるべきことは何ですか?

価格設計、送料と関税の扱い、配送日数の表示、返品ポリシーの4つです。これらが決まっていないと、英語が上手でも継続的には売れません。特に価格は、送料・決済手数料・為替・返品率を織り込んで初めて成立します。

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— Gin / Inari Stationery Strategy

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